滝川の家02/借景を取り込んだ山荘のような家

  • 所 在 地 :静岡県富士市
  • 竣  工:2003年6月
  • 構  造:木造在来工法 2階建て+ロフト
  • 延床面積:131.72㎡ (39.85坪)
  • 敷地面積:159.18㎡ (48.15坪)
  • 備  考:薪ストーブ

 

地元に愛される滝川の観音さん

過去の完成見学会を訪れた施主が、設計を気に入ってくれて会うことになりました。住んでいる場所ではなくて、ご両親の土地に建て替えるというので、その土地に伺いました。その場所が偶然、私のデビュー作となった家のすぐ傍でした。一年も通った場所なので、なじみがあります。

このあたりは昔、祭りで草競馬を行なった(馬場が道となって残っている)、滝川の観音さんと呼ばれるお寺があります。このお寺の土地には桜の大木が何十本とあり、住宅地と思えない自然豊かなところです。

ひらめき

ぽかぽかとした陽気の中、旧家の縁側でご家族と話しをしました。まるで近所の人が家に上がらずに、立ち話をしているような雰囲気です。雑談をしながら、この家族には昔のような土間が似合うと感じました。そして目の前の見事なお寺の自然(桜の大木)を、家の中から眺めることができたら、どんなにすばらしいだろうかと思いました。

借景を生活に取り込む山小屋風を提案

この家の最大の特徴は、2階のリビングダイニングの窓です。北側と西側を覆うお寺の桜の木々を眺めること、大胆にも借景を生活に取り入れる事を提案しました。大きな引き込戸は、木製特注品です。コーナーに開けることにより、開放感を演出しました。まるで手を伸ばすと桜に届くほどの臨場感が生まれました。

また、薪ストーブを設置したいという施主のかねてからの思いがあり、その設置位置と窓の関係から、思い切ってキッチンを部屋の中心に持ってきました。形が特別なので、必然的にオリジナルキッチンとなり、鍋物を囲むテーブルにもなる中心的存在としてリビングの主役に躍り出たのです。

1階は玄関引戸を開けると土間となり、玄関の機能というより、時に洗濯物干し場になったり、犬の小屋だったり、ご近所さんとの憩いの場となって活躍しています。

2020年10月07日