水戸の家01/蓄熱式床暖房と収納にこだわった家

  • 所 在 地 :茨城県水戸市
  • 竣  工:2005年2月
  • 構  造:木造在来工法 2階建て
  • 延床面積:163.82㎡ (49.55坪)
  • 敷地面積:264.47㎡ (80.00坪)
  • 備  考:蓄熱式温水床暖房 

 

譲れない夫婦の希望

初めて奥さんとお会いして、お話しを聞く。知人だった夫は「中澤君、庭は芝生にしてくれよ!」妻「芝生なんて手入れしないんだから、いや」夫「芝生がないなら家作らない」夫は芝生の庭が欲しくて、妻はタイルのテラスがいい。お互い主張を譲らず、目の前で夫婦喧嘩が始まる。思わず「どちらの夢もかなえましょう。」と言ってしまった。

さて、どうしたものかと考えた末、住み分けがはっきりするプランにして、自分の居場所を明確にしようと考えました。妻の希望をかなえたリビングダイニングからはテラスへつながり、夫の部屋からは、芝生の庭が見渡せるというL型プランを提案。リビングダイニングはオープンキッチンにして、視線の広がる大きな部屋を目指しました。

施主のこだわり

夫は床暖房、妻は広いリビングがどうしても欲しかった。広い空間と床暖房は必要不可欠とも言える関係で、床暖房の得意な私にとっては願ってもない依頼だった。奥さんが広いリビングを欲しがった理由は、大きなテーブルが欲しかったためである。家事、子供の勉強、家に帰ってからの仕事、すべてそのテーブルで行ないたかったのです。

できれば3メートルのムク一枚板。最終的には2.4メートルになったが、ダイニングテーブルのムク材料の吟味から素材探しは始まった。すべての物は収納され、窓以外の壁3方向は、それぞれ用途に合わせた収納壁となった。壁のほとんどが、オリジナル収納家具に囲まれ、施主の好みと使い方が十二分に発揮され「たったひとつのブランド」にふさわしい空間となりました。

収納扉の天然化粧板は、木材メーカーで100種の材種から悩みに悩んで選んだ注文品。木の色、木目に徹底的にこだわる施主と共に、私自身も勉強になりました。時に施主のこだわりは、設計者の経験をはるかにしのぎ、新しい材料との出会い、工法、考え方を生み出してくれます。

2020年10月04日