上和田の家/風と戯れ花と愛しむ混構造の家

  • 所 在 地 :静岡県富士市
  • 竣  工:2002年2月
  • 構  造:1階RC造+2階木造在来工法(混構造) 地上2階建て
  • 延床面積:264.02㎡ (79.87坪)ロフト含む
  • 敷地面積:443.53㎡(134.17坪)
  • 備  考:蓄熱式温水床暖房 屋上庭園

 

面と線

「中澤さん、私は一日に3回庭を散歩するんですよ」施主のこのひと言から、設計は始まった 手塩にかけた花々を眺めるのが、毎日の楽しみで、家・庭・門扉・塀などが西側の道路から調和して見え、外を通る人も楽しませる景観としたいと言う事であった。もちろん家の中からも庭の木々を眺めたいだろう。

内と外での視線が交わらない様にすることが、最大の問題だと直感した。その解答として道からは壁の連続で面となり、家の中への視線をさえぎり、家の各部屋からは壁が線となり、庭に向かって大開放する壁の建築であった。

風と戯れる

敷地は南北で1mほど高低差があった。「今まで住んできた家が、1.2m地盤より上がった所に床があり、風通しがいいので、これまでと同じ高さに1階を設定してほしい」との希望があった。通常の基礎よりお金がかかりますよと主張したのだが、風通しを最大に考慮する結論になり、設計を進めていく事となった。

ならば、せっかくお金をかけて上げた床下を有効利用することを思いついた。それが、縁の下(床スラブ下)から風が入り込み、中庭に流れ込む仕掛けだった。おまけに床下は開放地面となるため、中庭にもみじを植えることが可能となった。風と積極的に関わり、自然を家の中にとり入れ、まさしく風と戯れる家となりました。

家のファッション

この建物は、一階がコンクリートの壁構造で、二階に在来工法の木造が載っている特殊な建築物である。外壁の仕上げにいたっても、コンクリート打ち放しと、レンガタイル貼りの一階とモルタル下地のアクリルリシン吹き付けの二階と表情が変わる。そこへきて屋上庭園など緑も重なり、複雑な色合いを見せる。材料の持つ質感や、色というものは、人が服を着るがごとく、様々な選び方がある。

いわば家のファッションであり、建主の好みが反映しやすい部分でもある。建築家として気をつけていることは、その材料の持つ本質をそこなわない事、材料同士が反発しあわないように、全体の調和を第一に考えることです。

2020年10月02日